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元町映画館☆特集

時空が歪み、シュールさが加速する!『クー!キン・ザ・ザ』

ソ連時代に1520万人という驚異的な動員を叩き出したSF映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』をゲオルギー・ダネリヤ監督自らがアニメ化

暑い毎日が続きます。
暑いってもんじゃないかもしれません。
「最高気温更新!」のニュースを見るたびに、あぁ、日本、これからどうなるんだ?!と思う毎日です。そんな不安に駆られる皆様に朗報です。
日本、いや、地球飛び出してみませんか?

今回ご紹介するのはソ連時代に1520万人という驚異的な動員を叩き出したSF映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』をゲオルギー・ダネリヤ監督自らがアニメ化した『クー!キン・ザ・ザ』。クー!とは……。


こんなお話
著名なチェリストのチジョフとDJ志望の青年トリクは、ある日、雪に覆われたモスクワの大通りで異星人と遭遇する。そして思いがけず「空間移動装置」を押してしまったからさぁ大変。彼らがワープしたのは謎の惑星プリュク。見渡す限りの砂漠に覆われて、ズボンの色で階級が分けられている不思議な惑星。会話のほとんどは「クー!」で表現された異星人とチジョフたちは無事に地球に帰還することができるのだろうか……。

お久しぶりです。
元町映画館っぽい作品!!。自分であらすじを書きながら楽しくなっちゃってたのは秘密です。異星人、ワープ、砂漠、「クー!」。これで楽しくならない訳がない(つまり、楽しい)。
本作の元になったのは伝説のカルトSF『不思議惑星キン・ザ・ザ』。この映画もだいぶ変(褒めてる)なんです。初めて見たときは、良い大人/異星人がずっと「クー!」で挨拶、会話をしている。移動は謎の鐘の形した飛行船。リマスターされた映像が妙に不気味でした。でも大人たちが真剣にやってるとこちらも応援したくなる。絶対にワープボタンなんて押すもんじゃないと思いました。

そしてゲオルギー・ダネリヤ監督自らがアニメ化したってんだから、そら楽しみにしますよね。

はい、観ました。

実写では表現不可能なシーンが、アニメだと表現されている。
何よりちょっと不気味なシーンが、可愛くなっているのが笑える。あの小汚さが良さでもあったんですが、アニメだと可愛くなるってのが面白い。「もし人間が異星人と遭遇したら」。これって実写だと少しでも妥協すると陳腐なモノになってしまうと思うんです。「あ、お金なかったんかな」とかかん考えてしまう。CGでなんでも作り出してしまう時代だからこそ、視聴者の観る目も鍛えられています。そんな中で実写をアニメ化する、その勇気、私は拍手モンだと思います。

合言葉は「クー!」。
はい、なんのことか分からないですよね。私も異星人じゃないから分かりませんが、この惑星は「クー!」で会話が成り立ってしまうんです。訳わからなすぎて怖いですよね。喜怒哀楽もすべて「クー!」。そして急にビームみたいなもんで攻撃もしてくるし、騙すこともしてくる。初めて外国に行ったとき、こんな気持ちだったなぁ(ビームは打たれなかったけど)。でも一方で人生って何とかなるんだなって本作を観て思います。映画やん、アニメーションやんと言われればそれまでですが、異界の地で言語も分からずに彷徨っていると、何かしらのできごとに遭遇する。それをチャンスと思うか、失敗すると思って見過ごすか、あらゆる選択の中で生きているんだと思いました。「クー!」を理解できれば、この世界でも案外、楽しく生活できるのかもと思ったり。

この映画の独創的な世界観。「理由は分からないけれど、なんか面白い」時間をスクリーンで体験していただきたいです。もちろん実写とセットで。
クー!キン・ザ・ザ
(監督:ゲオルギー・ダネリア/2013年/ロシア/92分)

上映スケジュール
8/7(土)~8/13(金)14:30~
8/14(土)~8/20(金) 17:50~