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元町映画館☆特集

『島にて』

山形県の離島・飛島を舞台にしたドキュメンタリー。

(c)『島にて』製作委員会
(c)『島にて』製作委員会
山形県の離島・飛島を舞台にしたドキュメンタリー。
その島に暮らす人々は、かつては海の交流で栄えたが、現在は島の人口も減り、高齢化も進む。
140人あまりの島民はどのように生活しているか。

島は小さく、隣人すべてが知り合いのような環境で、映画は淡々と進んでいく。
ドラマチックなことが起きるわけでもない。
島に住むシニアは島を離れる若者に言う「この島にはもう帰ってくるなよ」と。それが悲しい。島に住めば、良さを知る。一方で島にいてはできないことも分かるのだろう。
そんな中でも自分たちが生きてきた知恵や生活の時間が島には必ずあって、それは具材の調理方法からも見て取れる。本当に美味しそうだ。具材も喜んでいるように見える。

一方で島は観光地化している。離島ということで、大きなフェリーにはいつも観光客がやってくる。それを笑顔で迎える分、帰りのフェリーを見送る表情は何だか暗い。今年は特にコロナだから、観光業は大打撃だろうと思いながら見てしまう。

そんな島の良くも悪くも不安定さを察してか、地元の青年団が事業や運動会などを通して島全体を盛り上げている。「合同会社とびしま」。静かに消えていきそうな島を照らす、その活動や姿勢からは学ぶことが多い。島に必要なことを行い、一方で島だからこそできることを事業にする。映画だけを見るとそれが軌道に乗っているか、そうでないかは分からないが、動きがあるのは本当に素晴らしい。それだけ、島に住む働き手は島の良さも理解し、危機感も感じているんだろう。何が正しく、何をすべきか。

でもこんな感想を持つのは島に住んでいないから言えるのかもしれない。少々大人になったからかもしれない。
何より本作で注目は学生の姿だろう。大きな校舎「飛島小中学校」で一人学ぶ学生。教師との授業も1対1。体育ももちろんそうだ。そんな彼が中学卒業後、学校は休校になる。彼を見送る会ではおめでとうの気持ちと「何かが終わってしまう」感情が入り混じっているように思えた。
親は言う。「彼の人生を応援したい」と。
期待を背負った彼をカメラはどう撮るか。自分が同じ立場ならどうするか。考えて観てしまう。

淡々と島の人、景色を映し出す映画。
静かに流れる時間を考えながら観る。考えることを提供してくれる映画も久々だ。
山菜を見事に調理するおばあちゃんや、不安な表情で漁に出るお爺ちゃん。
そしてあの少年は今、どうしてるだろう…という思いにふける。あぁ旅行に行きたい。
いろんな人や町に出会いたい。

『島にて』ぜひスクリーンでお楽しみください。
島にて
『島にて』製作委員会

上映スケジュール
12/19(土)~12/25(金)12:10より