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元町映画館☆特集

連続殺人鬼も誰かの隣人だ『サマー・オブ・84』

連続殺人鬼も誰かの隣人だー。この言葉が意味するものは。ぜひ劇場であの頃にタイムスリップ。

9月も中旬。暑い夏がようやく落ち着いてきた…そんな涼しくなった今、おすすめしたい青春ホラー映画、それが『サマー・オブ・84』。美少年も、頼りない友人も怪しい隣人も出てくる。そしてもちろんロマンスも。「あぁ、こんな時代が私にもあったな…」とノスタルジーに浸れる名作。

こんなお話。
1984年、アメリカはオレゴン州。緑豊かな郊外の住宅地で暮らすデイビー(この少年の頼りなさピカイチ)はエイリアンなど未確認、SFが大好き。ある日、近隣の町で同世代の子供たちばかりが狙われる連続殺人事件が発生。デイビーはあることがきっかけで向かいに住む警官マッキーが犯人ではないかと疑う。彼とその友人は探偵ごっこのようにマッキーを追跡するが…。

「トラウマ級の衝撃に満ちたエンディング」(公式サイトより)とあるようにエンディングに注目が集まっていますが、本作のすごいところは全編に流れる見えない緊張感、10代独特の危なっかしさがたまりません。『E.T』や『スタンド・バイ・ミー』など80年のアメリカ映画は少年たちが主人公で、未体験の世界に触れて、成長する…みたいな展開が多かったと思います。本作もメインはそれ。でも危なっかしさの度合いはそんな映画を超えていきます。

友情、恋、家族そして「殺人鬼ではないか」という疑問と答えを見つけたい欲望が一気にやってくる。「自分ならすべてを満たすことができるんじゃないか」という願いがデイビーを通してプンプン匂う。デイビーをより危うくさせる友人たちも本作の魅力。エロ雑誌に興奮し、パーティがあれば全力で楽しむ。でも家に帰れば親や兄弟、家族の「一部」として生きています。互いに危うい存在だから依存し合い、多少の無茶も突き通すことができる。主人公4人のタイプもバラバラだから共感できることもたくさん。

4人が「犯人を見つける」という、キャパオーバーなことで団結するシーンが序盤にやってきます。観る側は思うのです「おっ青春、これはハッピーエンドやな」と。「犯人捕まえて、チャンチャンやな」と思うのです。でも本作、いや映画って想像を裏切ることで名作と呼ばれることもある…ということを私たちに教えてくれるのです。デヴィッド・フィンチャーの『セブン』やゲームオーバーという名言を残した『ソウ』がそうであるように。

連続殺人鬼も誰かの隣人だー。この言葉が意味するものは。ぜひ劇場であの頃にタイムスリップ。
『サマー・オブ・84』ご覧ください。
サマー・オブ・84
(監督:フランソワ・シマール  アヌーク・ウィッセル  ヨアン=カール・ウィッセル/2017年/106分/R15+/カナダ/原題:Summer of 84)

上映スケジュール
9/21(土)~9/27(金)17:00~
スーパーレイト上映
9/21(土)~9/23(金)21:40~