とある寄宿学校を舞台に、学内にはびこる悪の組織（＝族、トライブ）によるヒエラルキーと、それに否応なしに巻き込まれ、取り込まれてゆく転校生セルゲイの姿を描いたあまりに衝撃的な青春映画『ザ・トライブ』。
嫌がることも悩むことすらせず目的のために売春を繰り返す女子学生、ヒエラルキーのトップに立ち学生たちを支配するのは暴力だと信じて疑わない男子学生、若い野心に引き摺られるままの教師たち。

だが、この映画が衝撃的であるのはそんなストーリーのせいばかりではない。

登場人物はすべてろうあ者であり、会話はすべて手話。さらに、字幕もナレーションも吹き替えも、一切存在しないのである。

映画を理解するための最も重要なツールである「言葉」を奪われたスクリーンの前の私たちは、彼らの一挙手一投足、微妙な表情の変化に注目しながら映像を追っていくこととなる。
最初は「何て言ってるんだろう？」などと考えながら観ているのだが、不思議なことに、そのうちそんなことも考えずに観ている自分に気づく。
こんな体験は生まれて初めてだ。自分は一体、どうやってこの映画を理解しているのだろう？

唯一無二の体験ができる『ザ・トライブ』。DVDで観てもこの衝撃は体感できないと思います。
ぜひ劇場でご覧ください。

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