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元町映画館☆特集

巨大権力と普通の人々の闘いを描く衝撃の実話『1987、ある闘いの真実』

1987年、あなたは何をしていましたか?

1987年、あなたは何をしていましたか。日本では流行語に「マルサ」「バブル」といった言葉が並び、ベストセラーは俵万智さんの「サラダ記念日」。映画でヒットしたのは『トップガン』や『ハチ公物語』など。そう、日本は超がつくほどの好景気を目の前にして浮かれていた時代。隣国、韓国では市民と政府との命をかけた闘いの真っ最中だった。

こんなお話。
韓国は1987年当時、軍事政権という巨大なハンマーで国民の願いや希望を心身ともに叩き潰していた。「政府に刃向かうものはすべて悪」、あらゆる手段で邪魔者を排除していた。そんなある日、ソウル大学の学生が警察の尋問中に死亡した。遺族は当然面会を希望したものの、警察はそれを拒否。当時の学生は反政権デモに参加し、警察が取り調べしていたのだ。その学生もでも首謀者を疑われて逮捕されていた。その不審な死亡事故を聞いたパク所長(政府側)は部下に火葬を命じるが、ある検事がそれに反対。そんなやり取りの中で出された警察の声明は国民、記者らを驚かす内容で…。

「事実は小説より奇なり」と言いますが、この映画息つく暇もございません。平和ってなに? 民主主義ってなに? 今の政府ってこうやってできたのかな…ということを考えるきっかけにもなる作品。本当に年齢問わずに観てほしい作品。特に冒頭から始まる、人間の狂気、信仰心があるからこそできる奇行の数々。そして目を覆いたくなるような真実の連続、ドラマとしても楽しめます。

3陣営が入り乱れる設定も見事。一見すると悪者に見える政府側の人間も物語が進めばなぜこのような悪行を繰り返してきたかが判明。一方でマスコミ、検事側は正義のように思えるが真実を追い求める上で規則違反などを繰り返す。罪の大きさで言えばどの陣営も法律を崩しているように思える。「罪の意識」を誰が、どこに持ちながら本作を観るのも面白い。

物語後半の鍵を握るのは政治犯など重罪を重ねた刑務所で勤務する看守。この男の登場で物語は一気に加速していく。一人一人の戦いが政府、時代を変えたというのはまさにこのこと。この物語に出てくる登場人物は皆、自分自信と戦いながら命がけで目標を達成しようとする。無駄な配役が一切ない。人物描写は見事としか言いようがない。

そしてそんなスリルあるドラマの中で、韓国映画独特の恋愛要素もしっかりからませてくる。この辺も上手い!。「映画1本観ただけでその時代、国柄がわかる!」とまでは言えませんがこの映画には韓国映画の良いところぎっしり詰まっています。お見逃しなく!
1987、ある闘いの真実
(監督:チャン・ジュナン/2017年/韓国/129分/1987: When the Day Comes)

上映スケジュール
11/3(土)~11/9(金)16:30~
11/10(土)~11/16(金)10:30~