元町映画館☆特集
「輪舞」と書いて「ロンド」と読む。その少しオシャレな響きとは真逆の男たちの悲しい運命を描いた韓国発のフィルムノワール
あらすじ
闇の組織で生きてきたジェホはある事件がきっかけで刑務所に収監される。彼は持ち前の腕力とカリスマ性で刑務所をまとめあげる頭に成長する。ある日、彼の前に野心ありの血気あふれる若者ヒョンスが登場し、互いの望み、大切な人との別れなどをきっかけに意気投合した彼らはチームを組み、ジェホのいた犯罪組織を乗っ取ることを計画するが…。
韓国の漁港で生魚の刺身を食べるシーンから本作は始まる。このシーンが本作の全てを物語る。死んだ魚の目を巧く使って、人の死、その瞬間を描いた良いシーン、まずここ見逃しちゃだめ。
そして何をやっても瞳孔が開きっぱなしの悪人顔のジェホ役のソル・ギョングの存在感がとんでもない。刑務所の中では知恵と腕力だけで生き抜くさまは鬼のよう。刑務官でさえ言いくるめる舌の巧さは見習いたいくらいです。笑いながら「久しぶりの現場も良いもんだな」と言い、敵に向かっていくシーンはまさに修羅のようです。
一方で若手のヒョンス役のイム・シワン。冒頭からアクションに挑発など第2のジェホのよう。しかし彼は実はある事件を告発するために警察が送り込んだ刑事だった。しかも警察学校は首席。数々の技のうまさも納得。 韓国独特の甘いマスクに腕っぷし。これにイチコロな女性多いのではないかと。
そんな彼らが手を組むことになったきっかけが切ない。アクション満載の本作でよりそれが際立つ。 盛り上げるところはしっかりあげて、落とすところは落とす。韓国映画の教科書のような映画つくりには頭が下がります。
刑務所、シャバと各分野で活躍する人を巻き込みながら伏線の連続。そしてもちろんご用意、裏切りの数々。
本作の良いところは「誰も不幸になりたくなかった」だけってことかなと。各自ベクトルはまったく違う方向に向いていたけど幸せになりたかった。それが各自の願い。
切ない。本当に切ない。ある人は名誉、ある人は家族、そしてある人は自分の過去と決別するために。誰に感情移入して、ノワール独特の淡々とした終わりかたに賛否両論あると思うが、ぜひご自身の目で名もない男たちの生き様を見届けて欲しい!!
名もなき野良犬の輪舞(監督:ビョン・ソンヒョン/2017年/120分/韓国/The Merciless)
上映スケジュール
6/30(土)~7/6(金)
13:00~
7/7(土)~7/13(金)
17:50~