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元町映画館☆特集

Smoke

1995年の大ヒット作品

Smoke
人生は本当に人それぞれ、考えかたも生き方も、環境が変わればまるで違う人になる。
派手な演出もドラマティックな進行もないのにこの映画は見ていて本当に気持ちいい。
ベタに言うと心にジンとくる。


【あらすじ】
1990年のアメリカ・ブルックリン。14年間同じ場所で写真を撮り続けるタバコ屋の店主の、オーギー。妻を亡くした作家。オーギーを裏切り、昔の男と結婚した恋人、命を狙われる黒人。それぞれの人生は、タバコの煙に導かれるように惹かれあっていく。

遠目で見れば変人でも、話してみると気さくなおじさんハーヴェイ・カイテルが主演のオーギーを務める。時代を感じる服装、そして演技の上手さが光る本作。しかし本作の魅力はなんといっても誰一人としてカッコつけていないことだろう。みんなごく自然に”話”をしている。アドリブか!というくらいの会話の流れだ。野球を見たり、一緒にお茶をしたり、クラブで羽目を外したり、自分たちとなんら変わりのない生活のが映画の中にある。

ブルックリンの街並みもちょうど良い。変な緊張感や切迫感もなく生活している。登場人物の過去もいやらしくない。そして大胆ではないが丁寧に人を映し出している。大人になりきれていない大人たちが精一杯生きている。歳を重ねたからって上手く生きれるとは限らない。”どうしようもなく不器用な大人”をこれでもかと投入したまさに決死戦。上映当時ロングランした理由は物語に感動することはもちろん登場人物に共感した方が多かったのではなかろうか。作品チラシを見ると「信じるものが1人でもいれば、その物語は真実に違いない」。この原作者でもあるポール・オースターの言葉がいちばんしっくりくる。誰でも嘘は一つや二つついたことがあるだろう。要はそれで誰かを幸せにしているかどうかだ。

「どうして嘘をついたか」。そんなことはこの映画では考えちゃダメ。それを信じて幸せになった事実を受け入れた方がこちらも幸せになるのは間違いない。誰もみんな不幸にはなりたくないことをこの映画では証明してくれている。

そしてラストシーンにトム・ウェイツの「Innocent When You Dream」。
憎たらしいほど、ずるい。そしてなんて、ベタでカッコ良い演出だ。英語は理解不能。全くわからない。でもメロディーと声だけでこの映画にピッタリなことは断言できる。「夢みる時は無邪気になれる」。いい大人たちが無邪気に真面目に楽しく生きる。それだけでもう見ているこっちは幸せです。

『Smoke』
2/25(土)~3/3(金)
13:10~
3/4(土)のみ
15:30~
3/5(日)~3/10(金)
16:00~

上映期間中は35mmフィルムとデジタル上映を交互に実施。
ぜひ公開当時の映像と新しくなった映像とを比べてみてください。